目 次
Orion Studioを中心に構築した、音質と機動力を両立する12チャンネル録音システム
現在のレコーディングでは、Antelope Audioのオーディオインターフェース「Orion Studio」をシステムの中心に据え、SSL「PureDrive Octo」とRupert Neve Designs「5211」を組み合わせています。
PureDrive Octoの8チャンネルをADAT経由でOrion Studioへ入力し、DAW上の1〜8トラックとして使用。2チャンネル仕様の5211をOrion Studioのアナログ入力へ直接接続し、9〜10トラックとして使用しています。さらに、11〜12トラックにはOrion Studioの内蔵プリアンプを使用しています。
このシステムの魅力は、12チャンネルを同時に録音できる便利さだけではありません。SSL、Neve、そしてOrion Studio内蔵プリアンプの特長を、Antelope Audioの高品位なコンバージョンと安定したクロック環境で、しっかりDAWへ収録できることが最大のポイントです。
レコーディングシステムの構成

- オーディオインターフェース:Antelope Audio Orion Studio
- 1〜8トラック:SSL PureDrive OctoからADAT接続
- 9〜10トラック:Rupert Neve Designs 5211からアナログ入力へ直接接続
- 11〜12トラック:Orion Studioの内蔵プリアンプを使用
- 合計入力数:12チャンネル
8チャンネルのマイクプリアンプをADATで増設し、2チャンネルの高品位なプリアンプをアナログで追加する、シンプルで実用的な構成です。
複数のマイクを使うドラムやバンドの一発録りはもちろん、ボーカル、ギター、ベース、ピアノなど、さまざまなレコーディングへ柔軟に対応できます。

★生音サンプル
・Rupert Neve Designs5211
スネアトップ、バスドラインマイク
・SSL Pure Drive Octo
OH、スネアボトム、バスドラアウト、タムマイク
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1〜8トラックを支えるSSL PureDrive Octo
ドラムや複数の楽器を同時に録音するときは、8チャンネルのSSL PureDrive Octoが活躍します。
PureDrive Octoは、SSLらしいクリアさと輪郭を持ちながら、ソース本来の質感を自然に捉えてくれるマイクプリアンプです。音の立ち上がりが速く、定位も見えやすいため、キック、スネア、タム、オーバーヘッドといった複数のマイクを使うドラム録音では、特に頼りになります。
音数が増えても各パートが埋もれにくく、ミックス時に無理な処理をしなくても、素材の段階から音の輪郭がしっかり残ります。
ADAT接続だから配線もシンプル

PureDrive OctoからOrion Studioへは、ADATで接続しています。複数チャンネルのデジタル信号を光ケーブルでまとめて送れるため、配線が非常にシンプルです。
8本分のアナログ出力を個別にインターフェースへ接続する必要がなく、スタジオ周辺をすっきり整理できます。ケーブルの本数が減ることで、セッティングやトラブルシューティングもしやすくなります。
音の良さだけでなく、準備の速さや扱いやすさも、実際のレコーディングでは大きなメリットです。
9〜10トラックにはRupert Neve Designs 5211
ボーカルやソロ楽器など、特に存在感や音楽的な質感を大切にしたいソースには、Rupert Neve Designs 5211を使用しています。
5211の2チャンネル出力はOrion Studioのアナログ入力へ直接接続し、DAW上では9〜10トラックとして録音します。
5211を通した音には、芯の強さと密度があります。単に柔らかい、あるいは色が濃いというだけではなく、音像が自然に前へ出てくる感覚が魅力です。
ボーカルの繊細なニュアンスやアコースティック楽器の倍音を丁寧に捉えながら、楽曲の中で存在感を失わない音に仕上げられます。
SSLのクリアでスピード感のあるサウンドと、5211の厚みや立体感を使い分けられるため、録音する楽器や目指す音に合わせた柔軟なチャンネル選択が可能です。
11〜12トラックにはOrion Studioの内蔵プリアンプ
11〜12トラックには、Orion Studioの内蔵プリアンプを使用しています。外部プリアンプだけに頼らず、Orion Studio自身の入力も活用することで、合計12チャンネルの同時録音が可能になります。
Orion Studioのプリアンプは、ソースの質感を素直に捉えやすく、SSLやNeveとは異なるクリーンな選択肢として重宝します。追加のスポットマイク、ルームマイク、ガイドボーカルなど、セッションに応じて柔軟に割り当てられるのが便利です。
プリアンプとコンバーターが同じOrion Studio内で完結するため、接続がシンプルで、素早く2チャンネルを追加できます。音質を保ちながら入力数を無駄なく使えることも、このシステムの大きな強みです。
Orion Studioがシステム全体の音をまとめる
システムの中心となるOrion Studioは、多チャンネル録音への対応力に加え、コンバージョンの質とルーティングの自由度が大きな魅力です。
PureDrive Octoから受け取った8チャンネルのADAT信号、5211から入力された2チャンネルのアナログ信号、そしてOrion Studio内蔵プリアンプの2チャンネルを集約し、合計12トラックを一つのシステムとして扱えます。そのため、録音からモニタリングまでの流れが非常にスムーズです。
Orion Studioの音は解像度が高く、細かなニュアンスまで見通しやすい印象です。高域には十分な情報量があり、低域も輪郭を保ったまま収録できます。
どれだけ良いマイクプリアンプを使っていても、その後段となるオーディオインターフェースの品質が十分でなければ、音の立体感や細部が失われてしまいます。
Orion Studioは、PureDrive Octoと5211が持つそれぞれのキャラクターを生かしながら、しっかりDAWへ届けてくれます。
ADAT接続で重要なクロックも安定

ADATを使ったデジタル接続では、各機器のサンプルレートを合わせるだけでなく、クロックを正しく同期させることが重要です。
このシステムでは、Orion StudioとPureDrive Octoの間でクロックを適切に同期させています。マスターとスレーブの関係を明確にし、両機のサンプルレートを統一することで、クリックノイズや音切れのない安定した録音環境を構築しています。
Rupert Neve Designs 5211はアナログで直接接続しているため、デジタルクロックの同期は必要ありません。クロック管理が必要なのは、主にOrion StudioとPureDrive Octoのデジタル接続部分です。
クロックがしっかり同期した状態では、各チャンネルの音像が明確で、ステレオの広がりや奥行きも把握しやすくなります。何より、録音中にクロックエラーを心配せず、演奏やマイキングへ集中できる安心感があります。
ポイント:ADATで利用できるチャンネル数は、設定するサンプルレートや機器の対応方式によって変わります。8チャンネルを同時に使用する場合は、録音前にサンプルレート、ADATモード、クロックソースを確認しておくことが大切です。
実際のレコーディングで感じる便利さ
このシステムを使って感じるのは、音質の良さと同じくらい、レコーディングへ入るまでの流れが速いことです。
1〜8トラックにはPureDrive Octo、9〜10トラックには5211、11〜12トラックにはOrion Studioの内蔵プリアンプという役割が決まっているため、セッションごとに複雑な接続をやり直す必要がありません。
12チャンネルをすぐに立ち上げられるので、演奏者を待たせることなく、録りたいと思った瞬間にレコーディングを始められます。特にドラムやバンドの同時録音では、このスピード感が大きな強みになります。
配線とルーティングが整理されているため、万が一問題が起きても原因を確認しやすく、録音に集中できる環境を維持できます。
SSLとNeve、2種類の音を使い分ける
このシステムの面白さは、SSLとNeveという異なる方向性のプリアンプを、同じセッションの中で使い分けられることです。
PureDrive Octoが向いているソース
- ドラムのマルチマイク録音
- バンドの同時録音
- ステレオペアを複数使う録音
- 輪郭やスピード感を重視したい楽器
- ソース本来の質感をクリアに残したい録音
5211が向いているソース
- ボーカル
- アコースティックギター
- ベース
- エレキギター
- 重要なスポットマイク
- 厚みや存在感を加えたいソース
すべての音を同じプリアンプで統一するのではなく、ソースに合わせて入口を選べることで、録音素材の段階から楽曲に必要なバランスを作れます。
その結果、ミックス時に過度なEQやコンプレッションへ頼らなくても、各楽器が自然に配置されたサウンドを目指せます。
まとめ
Antelope Audio Orion Studioを中心に、SSL PureDrive OctoとRupert Neve Designs 5211を組み合わせたこのシステムは、音質、安定性、使いやすさを高いレベルで両立しています。
- PureDrive Octoの8チャンネルをADATで効率よく入力できる
- 5211の2チャンネルをアナログで直接接続できる
- Orion Studioの内蔵プリアンプを11〜12トラックに活用できる
- 合計12チャンネルの高品質な同時録音が可能
- SSLとNeveの異なるキャラクターを使い分けられる
- Orion Studioの高品位な変換と柔軟なルーティングを活用できる
- 正しいクロック同期によって安定したデジタル録音を行える
- 配線が整理され、レコーディングの準備が速い
SSLの透明感とスピード、Rupert Neve Designsの厚みと音楽的な存在感、そしてAntelope Audioの高品位なコンバージョンとクロック性能。それぞれの長所を一つにまとめた、非常に満足度の高いレコーディングシステムです。
多チャンネル録音の便利さを確保しながら、ボーカルや重要な楽器には特別な音質を与えられる。実際の制作現場で、音の良さと作業効率の両方を重視したい人にとって、理想的な構成の一つだと感じています。
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